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最高裁判所第二小法廷 昭和30年(あ)2753号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人花本福次郎の上告趣意第一点は、事実誤認及びこれを前提とする単なる法令違反の主張であり、同第二点は単なる訴訟法違反の主張であって、いずれも適法な上告理由にあたらない(人家の建ち並ぶ巾五米の道路上を宣伝車が拡声器をつけて音楽を奏でつつ、人の歩行する程度の速度で進行した事実が証拠によって認められる以上、かかる事情の下においては、その後部に数人の児童が取付き又は之に追随するものであることが通例であるから、その児童が該宣伝車と反対の方向から進行する自動車の前面に何時飛び出すかも測り知れないことも経験則上明かなところであって、かくの如き経験則上明らかな法則については、特段の証明を要するものではない。また業務上必要な注意を怠り因て人を死に致した以上、被害者が死亡するに致った原因につき、被害者側にも過失があったからといって、その刑責を免れ得るものではない。)。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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